コラム

コロナ禍の大学をゆく。

先日久しぶりに大学へと足を運んだ。今年一年は全く授業を履修していないこともあって、講義室に足を運ぶこともなかった。
加えて、あのコロナだ。

中日新聞か何かで発表されたと記憶しているが、なんやかんやで前期の講義は全てオンラインで行われたらしい。
(後輩に聞くところによると、一部の講義はテストのみ登校となったようだ。)

後期になっても以前のような全面的な対面での講義再開とはならず、人数を減らしたり、隔週ごと対面とオフラインを使い分けて講義を行っているらしい。
つまり、少なくとも半数以上の大学生が大学に来ていなかったわけだ。

ふと、視線を過去に自分が講義を受けていた講義室に向ける。

ほうほう、この時間は論理回路及び設計の演習の講義か。

どれくらいの学生が対面で講義に来ているのかを覗いてみる。

・・・

4人だけであった。

講義担当の教授達が二人いるものだから、マンツーマンの指導を受けていることと同義である。
こんなご時世になっても真面目に講義に顔を出している彼らは、さぞ質の高い教育を受けているのだろう。

今度は、旧全学ホールに足を運んでみた。
確か、昨年どこかの財団に命名権を販売し、改装もされて使いやすくなったものだと記憶している。

・・・

誰もおしゃべりをしていない。
旧全学ホール時代は講義中でさえ関係なく騒がしい動物園のようであったのに。感染症対策のためか、席の方向は統一され、座っている学生はPCや資料を開いて熱心に勉学に励んでいるようである。
さながら、自習室の受験生のような佇まいである。
と言っても、オンライン講義に接続しているのであれば、自習室的な雰囲気になることは必死だ。

ちなみに、学割の証明書も新しくなっていた。
私の学割を発行する操作音が、静寂な旧全学ホールに響き渡っていた。

最後に、久しぶりの本を借りようと思い至って図書館へと向かう。
前回、新型コロナウイルスの影響で貸し出し期間がかなり長くなっていたと気を抜いており、一週間近く延滞期限をオーバーしてしまっていた。
利用停止期間が解除されていることを願いつつ図書館のゲートを潜る。
そういえば、弊学部の教授が4月ごろに発売した本の予約をしてたな、ということを今になって思い出す。今度こそ借りに行こう。

適当に本を物色して自動貸出機の前に立つ。利用停止期間はすでに終了しており、本を借りられるようだ。

再度ゲートをくぐって図書館を出ると、見知らぬ男子学生が複数名男気ジャンケンをしている。きっとスタバの飲み物でも懸けているのだろう。
なんやかんやで大学生は今日も元気である。

とまあ、昔と今とを比較する、老害のようなことを思ってしまった。

あの騒がしかった旧全学ホールも、人が多すぎて空気が悪く、眠くなってしまった講義室も、図書館の目の前に広がる、緑の椅子に座って堂々と飲食をする人が多発していたラーニングコモンズも。
きっと、昔のような姿を目にすることはもうないのだろう。

残りの学生生活で、名大はどのように変化していくのだろうか。

荒井慶介
名古屋大学情報学部4年。東山カルチャープレス編集員。楽天モバイルに乗り換えるか悩んでます。
note:https://note.com/twelni17
Twitter:@isuk_rika

東山カルチャーコラムは、東山エリアについて、ゆかりのある方になにかしらの文章を書いていただいて掲載しているコーナーです。毎週金曜17時更新予定。

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